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2012.05.02

Digital Therapy Instituteのこと

Digital Therapy Institute (=DTI) は、1993年のCanonアートラボのPsycoscape展で、観客が意識の操作によって脳波の周波数を変えることでCGで移動してゆく映像をコントロールする装置であるBrainwave riderを発表した。その後、2004年のミネアポリスのFISEA、翌年のヘルシンキでのISEA、ほかにルクセンブルグ、ロンドンなどで次々と展覧会をやった。

アートラボのカタログのために書いた文章をもとに、MIT Pressが発行するエレクトロニクアート誌Leonardoでこのプロジェクトについて論文が掲載されたし、またドイツの美術雑誌Kunstforumの電子芸術の特集でも、Brainwave riderとその思想について論文を書いた。

これらの論文は、海外の大学の授業でも使われたりした。それは、90年代にパソコンがマッキントッシュのGUIで少し市場が拡大し、しかし、まだインターネットはUNIXのネットワークではあったが、一般の人が利用するようにはなっていない時期、しかしTVゲームが次々と出て、それが来るべきさらなるデジタル社会を期待させるような時期だった。

そのDTIをいっしょにやっていたミュージシャン、アーティストであり、起業家であり、カンボジアでボランティア活動もやっていたヘンリー川原さんが亡くなったという知らせがさきほど入った。

展覧会以外にも、いっしょに旅をした思い出や、スタジオに入ってサウンドや映像を編集していたことが思いかえされるし、しばらく会っていないなかでカンボジアで再会し、今年も2月にカンボジアで会ったばかりだったことを思い出す。

そのむかし、ルクセンブルグでは、現在の大公がまだ少年で、家族で来られて作品を試されたし、ヘルシンキでは文部大臣の脳波を使った。ぼくたちは、招待されることも多かったが、それでも国や財団などの支援も無いので、わりと自費で参加していたのだが、デジタル技術の日本のアーティストとして出ていた。

人間は全力でいろいろなことをやっても、あまりたいしたことはできないものかもしれない。ぼくはまたDTIという名前のバンドをやらないかと、川原さんに話していた。彼はそうだねぇと言っていた。

とても残念だが、いまとなっては実現できない。

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